2026年6月19日 — 株式会社OZ. 編集部
生成AIのリスクをIPAが初の注意喚起|名古屋の中小企業が決めておきたいAI利用ルール
「便利だから、とりあえずChatGPTに社内の資料を貼って要約させている」──最近、名古屋の中小企業でもよく聞く光景です。ところが先日、国の機関であるIPA(情報処理推進機構)が、生成AIにまつわるリスクを企業向けの脅威ランキングに初めて選出しました。AIを使い始めた“今だからこそ”決めておきたい、社内の利用ルールについて整理します。
IPAが「生成AIのリスク」を組織向け脅威に初選出
IPA(情報処理推進機構)が毎年公表している「情報セキュリティ10大脅威 2026」で、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向け脅威として初めて選出され、いきなり第3位に入りました。これは約250名の専門家による投票で決まるもので、現場の実務担当者が「今、本当に注意すべき」と感じている脅威の縮図といえます。
ちなみに第1位は5年連続でランサムウェア、第2位は4年連続でサプライチェーン攻撃。常連の強敵が並ぶなかに、生成AIのリスクが一気に割り込んできた格好です。それだけ、AIが「一部の先進企業のもの」から「どの会社も日常的に使うもの」へと変わったことの裏返しでもあります。
情報セキュリティ10大脅威 2026(組織向け・上位3つ)
- 1位 ランサムウェアによる被害 5年連続の第1位。データを暗号化して身代金を要求する、依然として最大の脅威。
- 2位 サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃 4年連続の第2位。取引先や委託先を経由して被害が広がるパターン。
- 3位 AIの利用をめぐるサイバーリスク(初選出) 生成AIの急速な普及にともなう情報漏えい・悪用・新たな攻撃手口。2026年版で初めてランクイン。
出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(組織向け)
中小企業にとっての「AIのリスク」は、難しい攻撃の話だけではない
「AIのリスク」と聞くと、AIを悪用した高度なサイバー攻撃を思い浮かべるかもしれません。もちろんそれも含まれますが、名古屋・愛知の中小企業にとってより身近で現実的なのは、「社員が良かれと思って使った結果、情報が外に出てしまう」という方の漏えいリスクです。
たとえば、お客様の名簿や見積書をそのまま無料のAIサービスに貼り付けて要約させる。あるいは、まだ公表していない新商品の企画書をAIに添削させる。こうした使い方は、設定によっては入力した内容がAI側の学習やサービス改善に使われる可能性があり、「気づかないうちに社外秘が外に出ていた」という事態につながりかねません。悪意がないぶん、かえって発覚しにくいのが厄介なところです。
7月からはMicrosoft 365にもAI機能が標準で組み込まれます(先日の記事でも触れました)。AIが「特別なツール」から「普段の道具」になるからこそ、使い始める前に最低限のルールを決めておくことが、これまで以上に大事になってきます。
OZ.が提案する「AI利用ルール 3つの最低ライン」
難しい規程を一から作る必要はありません。まずは次の3つだけ、紙1枚にまとめて全員で共有するところから始めるのが現実的です。OZ.がご相談を受ける際も、最初はこの3点に絞ってお伝えしています。
まず決めたい・AI利用の最低ライン
- 01 入れていい情報・ダメな情報を線引きする 顧客名簿・個人情報・未公開情報・取引条件はAIに貼らない。一般的な文章の手直しはOK、など具体的に。
- 02 会社として使うAIサービスを決める 「学習に使わない設定」がある法人向けプランを選び、個人のアカウントでの業務利用は控える。
- 03 AIの回答は鵜呑みにせず人が確認する もっともらしい誤り(ハルシネーション)もある前提で、最終チェックは必ず人が行う。
ポイントは、AIを「禁止する」のではなく「安全に使えるレールを敷く」という発想です。便利な道具を現場から取り上げてしまうと、結局は社員が個人の判断でこっそり使い始め、かえって管理が効かなくなります。AI導入の第一歩とセットで、この“使い方の地図”を渡してあげることが、経営者の役割だと考えています。
まとめ
IPAが生成AIのリスクを初めて組織向けの脅威に選んだことは、「AIはもう、どの会社にとっても無関係ではない」という国からのメッセージでもあります。難しく考えず、まずは「入れていい情報・ダメな情報の線引き」「使うサービスを決める」「人が最終確認する」の3点を紙1枚にまとめるところから。AIの便利さを安心して活かすための、小さな第一歩になります。
AIの「使い方ルール作り」、OZ.が一緒に整理します
「ルールを作りたいけれど、何をどこまで決めればいい?」「うちの業務で安全に使えるAIはどれ?」──そんなご相談から承ります。名古屋・愛知エリアの中小企業のIT支援を専門に行うOZ.が、現場の実態に合わせて、無理なく続けられるAI利用ルールづくりをお手伝いします。